名作『君の名前で僕を呼んで』続編の『Find Me』感想

私の地元近くに映画館が少なかったこともあり、あまり映画とは縁がありませんでした。
そんな中、たまたまサブスクでなんとなく見た映画『君の名前で僕を呼んで』がなんとも面白く、物語の結末が鑑賞後もずっと胸に残り続けるほど感動しました。

君の名前で僕を呼んで(字幕版)
1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。彼は大学教授の父の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らす。はじめは自信に満ちたオリヴァーの態度に反発を感じるエリオだったが、まるで...

それが私の映画を見始めるきっかけになりました。

そんな映画の原作には、実は続きがあることを知りその小説『Find Me』を手に取りました。
今作は、前作のメインであったエリオ・オリヴァーの視点で描かれる他、エリオのお父さんの視点でも物語が語られます。

新たな愛を育もうと進むもの、かつての恋に足をとられるもの、日々の中の様々な心の揺れを味わうことのできる今作。
もしまだ今作を読んでいない方にも興味を持ってもらえるように、私の感想をまとめようと思います。

Find Me (マグノリアブックス)
★第90回(2018年)アカデミー賞脚色賞を受賞し、 日本中が熱狂した映画化作品の原作小説「君の名前で僕を呼んで」! その続編の「Find Me」が遂に登場‼★ エリオとオリヴァーが愛を重ねた、十七歳のあの夏の日から数年後。 エリオは才能あ...

「Find Me」あらすじ

息子のエリオに会うため、ローマへと向かう列車に乗っていたサミュエル。
途中の駅で乗車して来た息子と同年代の女性・ミランダと出会う。
彼女の積極的で歯に衣着せぬ物言いに、戸惑いつつも……。
一方、ローマからパリに移り、クラシックのピアニストとしての才能を開花させていたエリオ。
音楽と向き合う日々を送っていたが、とある演奏会でふた回りも歳の離れた弁護士のミシェルと出会うことに。
ユーモアたっぷりで優しいミシェルに、惹かれ始めていく…。

「Find Me」紹介文より

物語の始まりはなんと、エリオの父サミュエル視点から描かれます。さらに驚きなのが、前作との間で妻と別れていることが発覚します。
(映画で仲睦まじい印象があったばかりに衝撃的でした…)

そんなサミュエルはエリオに会うために乗った列車で、とある不機嫌そうな女性と乗り合わせます。最初は気にせず、読書を続けたサミュエルでしたが、こちらを見つめている彼女にぽつりと質問してしまいます。

「なぜそんなに不機嫌なんだ?」

それをきっかけに、独特の人生経験や価値観を互いに持っていた2人は目的地に着くまでに話し込み、そしてサミュエルは己にまっすぐで積極的な彼女・ミランダに徐々に惹かれ、仕舞にはミランダの父の家へ招待されることに…

この他に、エリオと2回りも歳が離れた弁護士ミシェルとの出会いとミシェルの父が残した遺品の謎を解く物語・初めて描かれるオリヴァー視点の物語など、全四章で物語が展開します。

「Find Me」の登場人物

エリオ・パールマン

「君の名前で僕を呼んで」の主人公。
ピアニストとして活動しており、とある演奏会で出会ったミシェルと惹かれる。

オリヴァー

エリオの初恋の相手。
「君の名前で僕を呼んで」の最後で結婚しているが、今の人生に空虚を感じている。

サミュエル・パールマン

エリオの父。
エリオに会いに行く途中でミランダと出会った。

ミシェル

息子がいる、すでに妻と離婚している弁護士。
演奏会でエリオと出会い、惹かれあう。

ミランダ

世界中を旅している写真家。
とある列車でサミュエルと乗り合わせる。

感想

ここからはネタバレも含みながらの感想になります。

ミヒャエル編

割と長めなので一回この章を読んだ後で力尽きてしまいました。
エリオ・オリヴァーの物語を期待して読み始めたので若干気力が必要だった…

ただ、前作「君の名前で僕を呼んで」でも出てくる哲学的な考えはこの章が一番濃かったです。
読んでて、『あ~続編読んでる^』って気分になりました。

エリオ両親が離婚していた事実には結構驚かされましたが、なんとなくな理由を読んだときは納得してしまう不思議。

また、「一緒に人生を送っているふりをしてるだけのルームメイト」や「ヴィジリア」など独特な言い回しや考えは私の思考の幅を広げてくれる気がしました。

全編をすべて読むとこの章の重要さも理解できるようになってます。
…最後のミヒャエルとミランダの行動は理解はできるも、私はしないだろうな~と思うほどに急スピードに加速していくのもそれはそれで面白いものでした。

エリオ編

さすが前作主人公。全編の中で一番読んでて面白かった。

物語の構成としても、前半は新キャラのミシェルとの出会いと関係の進展を描き、後編にはそれに加えミシェルの父が残した遺品である「楽譜」の謎に迫るので満足度が高かったです。
それこそ一冊の本として読みたいほどに。

個人的にミシェルのキャラが好みだったのですが、エリオとしてはかつての思い出の人がわすれられないんだな~と思いました。

これを読んで、シードルやカルヴァトスに興味を持ちました。両方とも林檎のお酒なんですかね?
あまりお酒には詳しくないので今度飲んでみたいものです。

オリヴァー編

全編を通して、オリヴァーが一番前作「君の名前で僕を呼んで」の要素を持っている気がしました。
それこそ、精神的なエリオとの繋がりの描写だったり、前作のラストから続いた物語の転換をやってた。

オリヴァーが前作でいつのまにかコミュニケーションを築いてた理由が、このオリヴァーの心情が描かれる物語でより理解できた気がする。
普通よりもひとのことを愛するこころが強そう。

(…歯磨き粉の味を相手にも味わってほしいはちょい行き過ぎた愛感はある。)

そして最後はわりとあっさり決着をつけた気がする。若い時に悩んでいたこともある程度年齢を進め、苦悩を煮詰めることでふっと軽くなったのかな。

タイトル「Find Me」の回収もここでおこなわれていたはず…

 

そして最後は、割とあっさりとしていてすっきりと、ただこれで本当に終わりなんだなと少し物悲しく終わりました。
(リトル・オリーに関しては割とすごいことしたなと思いました。海外だとふつうなのか…?)

最後に

今作「Find Me」も映画化することがあるのでしょうか?監督は続編を作る気が満々のようです。

「君の名前で僕を呼んで」続編にティモシー・シャラメとアーミー・ハマーが復帰 : 映画ニュース - 映画.com
アカデミー賞4部門にノミネートされた「君の名前で僕を呼んで」の続編に、前作に主演したティモシー・シャラメとアーミー・ハマーがカムバックすることがわかった。ルカ・グァダニーノ監督が伊ラ・レプッブリカ紙に語った。グァダニーノ監督作「君の名前で僕

オリヴァー役の人が復帰できるかが重要ですね…
もし上映することになったその時には、今度こそ劇場で観たいです。

Find Me (マグノリアブックス)
★第90回(2018年)アカデミー賞脚色賞を受賞し、 日本中が熱狂した映画化作品の原作小説「君の名前で僕を呼んで」! その続編の「Find Me」が遂に登場‼★ エリオとオリヴァーが愛を重ねた、十七歳のあの夏の日から数年後。 エリオは才能あ...

また、以下のような記事も投稿しているので良ければご覧ください

米津玄師さんの愛読書でもある小説『スノードーム』の紹介
米津玄師さんの愛読書でもある、アレックスシアラー作の小説「スノードーム」の紹介記事になります。愛をテーマに紡がれる歪な物語は、未読の方はもちろん米津さんファンの方にもおすすめの一冊です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました