バッドエンドの先を歩む映画『CLOSE / クロース』感想

CLOSE / クロース サウンドトラック

たまたま視聴していたあるラジオ番組で紹介され、あらすじに興味をもった映画『CLOSE / クロース』を観てきました。 

ルーカス・ドン監督の今作『CLOSE / クロース』は、無邪気な子供から思春期の少年へと変わっていくに伴って変化していくその心模様を残酷なほどに緻密に映し出しています。

きっと鑑賞中には私と同じく、思春期の頃の私を重ねてしまい、思春期特有の同級生からの視線やプライドに苛まれる葛藤や、大切なものを傷つけた時のあの罪悪感を味わうことでしょう。

そんな『CLOSE / クロース』をまだ見ていない人への布教用に書きまとめました。
もし1人でも興味を持ってくださると嬉しいです。

『CLOSE / クロース』あらすじ

花き農家の息子のレオと幼馴染のレミ。昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべる。24時間365日ともに時間を過ごしてきた2人は親友以上で兄弟のような関係だった。

13歳になる2人は同じ中学校に入学する。入学初日、ぴったりとくっついて座る2人をみたクラスメイトは「付き合ってるの?」と質問を投げかける。「親友だから当然だ」とむきになるレオ。その後もいじられるレオは、徐々にレミから距離を置くようになる。

ある朝、レミを避けるように一人で登校するレオ。毎日一緒に登下校をしていたにも関わらず、自分を置いて先に登校したことに傷つくレミ。二人はその場で大喧嘩に。その後、レミを気にかけるレオだったが、仲直りすることができず時間だけが過ぎていったある日、課外授業にレミの姿はなかった。心ここにあらずのレオは、授業の終わりに衝撃的な事実を告げられる。それは、レミとの突然の別れだった。

移ろいゆく季節のなか、自責の念にかられるレオは、誰にも打ち明けられない想いを抱えていた…。

CLOSE公式ページより引用
映画『CLOSE/クロース』オフィシャルサイト
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この映画の予告編がYouTubeにアップされています。

YouTube / 映画『CLOSE/クロース』予告編

主人公のレオは、これまでレミと2人きりだった世界から、中学入学を機に同じ年代の子ども達がたくさんいる世界へと進むことになります。

これからも2人なら大丈夫だと思ったレオとレミだったが、2人の友達以上の関係性を見た他の生徒からは「付き合っているのか?」などの質問や悪意あるヤジが飛んできます。

最初はそれらに反発していくレオだったが、自分以外の考え方や常識など、これまでになかった世界観を取り込んでいくうちにレオもその他の同級生に混じっていき次第にレミとは距離を置くように…
しかしレミからすればなぜ自分が距離を置かれるのか理解できずに心に傷をつけてしまいます。

その後2人は決定的な大喧嘩をしてしまい2人の関係はさらに離れてゆき、ついにある日予告もなくレミはレオの元から2度と会えない場所へと去ってしまいます

いよいよレオは自分の犯したことについて自覚し、ただ、人に明かすにはあまりに未熟で重すぎたこの罪を打ち明けることもできず独りで抱えながらこれからの繰り返す日常を歩んでいきます。

繊細に映す繰り返す日常たち

この映画の特徴としては、レミを失ったレオのこれから繰り返す日常をひたすら繰り返していきます。

最初は周りに悟られないように、気丈に振舞いながら楽しく毎日を過ごします。新しい友達に囲まれ、新しく始めたアイスホッケーの練習に打ち込み、家族の仕事も手伝い始めたり…と日々を歩んでいきます。

しかし、まだ幼いレオにはあまりにも背負った罪は重く、忘れようとした罪悪感が膨れ上がっていくとともに、兄に甘える頻度も増え、クラブの練習でも思ったように動けず…
徐々にレオの心が限界に近づくにつれ行動に変化が見られます。

今作は、このように変わり映えのしない日常を描きつつ、少しずつ緻密に変化していくレオの心の変化を映します。

私個人が印象に残ったものを今回いくつかピックアップしていきます。

共に走る仲間の変化(ネタバレあり)

今作はレミとごっこ遊びをしながら花畑を走り抜けるシーンから始まります。
その後入学した中学で、校外授業のイベントが行われ新しくできた多くの友達と一緒にレオは海辺を走ります。たった1人、レミがいない中で。

このようにレオの成長に合わせてともに走り抜ける仲間が変化します。

花畑を走っている時はほほえましく温かい印象を覚えましたが、海辺のシーンはレミがいないなか楽しそうにしているレオの子どもらしい無邪気さに寂しくなりました。

ダリアの花畑(少しネタバレあり)

個人的にこの作品の仕込んだネタで一番衝撃を受けたポイントです。

2人がともに育ったダリアの花畑。序盤でレオとレミがこの花畑の中を走り抜けるシーンは色鮮やかで、今でも鮮明に思い出すことのできるほどに綺麗でした。

そんなダリアの花言葉が「華麗」「気品」「移り気」「裏切り」らしい。
映画を見終わった後にこの事実を知ったときは唖然としました。
まさか序盤から出てくるこの花が伏線になるなんて思いもしませんでした…

そしてラストシーンでは…序盤との対比に胸が苦しくなりました。

まとめ

みなさんは、小学生から中学生へ・中学生から高校生へと移るように新たな生活が始まったとき、環境や心の変化によって今までの友達と距離を置いた経験はありますか?

私も含め、多くの人がレオと同じ行動をとってしまった経験があるのではないでしょうか。

また、今作で一番共感して苦しくなったのはレオが自分の罪を周りに隠し通していくシーンですね。
罪の大きさは大小あれど、誰もが一度はあの胸がキュッとなる苦しみを味わったことがあるでしょう。

このレオを演じたエデン・ダンブリンは、本作が映画デビューらしく、出演のきっかけも14歳の時に偶然電車内で監督のルーカス・ドンと出会い、レオ役のオーディションに受けることを薦められたことが始まりらしい。それすらも映画のような奇跡的な出会いですね。

今作『CLOSE』のグッズはこちらのサイトから購入できるそうですね。
私はパンフレットを購入します。

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また、サウンドトラックも存在します。私はspotifyで読書する際などによく聴いています。

この映画の監督のルーカス・ドンの他作品も気になるので時間があるときにチェックしたいです。
ただ、多分CLOSEのようなテイストっぽいので心に余裕がある時に見たいです。

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